個人飲食店オーナーがAIで求人・面接を内製化:採用コストを年60万円削減

個人飲食店オーナーがAIで求人・面接を内製化:採用コストを年60万円削減
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個人飲食店オーナーがAIで求人・面接を内製化:採用コストを年60万円削減

「また求人サイトに掲載費を払わないといけない……」

アルバイトが突然辞めた翌朝、スマートフォンを手に頭を抱えた経験のある飲食店オーナーは、私だけではないはずです。掲載費を払って求人を出し、応募者のふるいわけをして、面接の日程を調整して、採用しても数ヶ月で辞めていく。そのたびに数万円が飛んでいく。「人を雇うのにこんなにお金がかかるのか」と感じながらも、個人店に採用の専任担当者なんていないから、すべて自分でこなすしかない。

この記事は、大阪で居酒屋を1店舗経営する私・田中裕一(仮名・44歳)が、ChatGPTを中心としたAIツールを使って採用業務を完全内製化し、年間60万円以上のコスト削減を実現した実践記録です。難しい設定は一切なし。スマートフォンとパソコンがあれば、今日から始められます。

背景:なぜ採用に年間60万円以上かかっていたのか

私が経営する「居酒屋 八蔵(やぐら)」は、大阪・本町に2014年からある30席ほどの個人店です。社員は私を含めて2名、あとはアルバイトが4〜5名という体制で回しています。

2024年以前の採用状況はこんな感じでした。求人サイトへの掲載費が1回あたり3〜5万円、年に平均4〜5回は求人を出していたので掲載費だけで年間15〜20万円。それに加えて、採用代行や応募管理ツールの月額費用が年間8万円ほど。さらに「これだけ払っても採用できなかった」案件も含めると、実質的な採用関連支出は年間30〜40万円に達していました。

金額だけが問題ではありません。時間も相当取られていました。求人票を書くのに1〜2時間、応募者とのメッセージのやり取りに毎回30分以上、面接の準備と実施で1〜2時間、採否の連絡文を考えるのにまた30分……。月に換算すると、採用関連作業だけで10〜15時間を費やしていました。

転機は2025年の春。常連のお客さんがIT企業に勤めていて、「うちの会社ではChatGPTで採用文書をぜんぶ作ってますよ」と教えてくれたのがきっかけです。最初は「AIって難しそう」と思っていましたが、試しに使ってみたら衝撃を受けました。「これ、私でも使えるじゃないか」と。

具体的な取り組み:採用業務をどうAIで置き換えたか

① 求人票の作成:「伝わる募集文」をAIと一緒に作る

まず取りかかったのが求人票の作成です。以前は求人サイトのテンプレートに情報を埋めるだけで、正直「どこにでもあるような文章」しか書けていませんでした。

ChatGPTに以下のようなプロンプトを入力してみました。

【プロンプト例①:求人票作成】

あなたは飲食店の採用に詳しい求人ライターです。以下の条件でアルバイト募集の求人票を書いてください。

・店名:居酒屋 八蔵(大阪・本町)
・雇用形態:アルバイト
・時給:1,100円〜(経験者は1,200円〜)
・シフト:週2〜3日OK、18時〜24時の間で相談
・仕事内容:ホール全般(注文取り・料理提供・レジ・片付け)
・職場の雰囲気:常連が多く、スタッフ同士の仲が良い。オーナーは元サラリーマンで話しやすい
・歓迎する人物像:笑顔で接客できる人、シフトの融通が利く人
・求職者が不安に思うポイント:「初めての飲食バイトでも大丈夫か」「まかない・服装はどうか」

求職者の不安を先回りして解消し、八蔵で働く具体的なイメージが湧くような文章にしてください。文字数は500〜600文字程度。

出力された文章を読んだとき、正直「自分では絶対にこう書けなかった」と思いました。「初めての飲食バイトでも大丈夫。先輩スタッフが丁寧に教えます」「まかないあり、動きやすい服装でOK」といった、求職者が気にするポイントをしっかり拾った文章が仕上がっていました。

ただ、そのまま使うのではなく、必ず自分でチェックして「八蔵らしさ」を加筆するようにしています。AIが出した文章は「80点の素材」として使い、そこに私の言葉を足して「100点」に仕上げるイメージです。

② 応募者への返信文・不採用通知の自動化

採用業務の中で、地味に時間を食っていたのが「返信メール」です。応募者への受付確認メール、面接日程の調整メール、採否通知メール……これらを毎回ゼロから書いていました。

【プロンプト例②:面接日程調整メール】

飲食店のアルバイト採用担当として、応募者への面接日程調整メールを書いてください。

・応募者名:田村さん(20代女性、初めての飲食バイト希望)
・候補日時:①6月25日(水)19時〜 ②6月27日(金)14時〜
・面接場所:店舗(本町)
・所要時間:約30分
・担当者:田中(オーナー)

堅すぎず、でも失礼のない温かみのある文章で。不安を感じている応募者が安心できるような一言も入れてください。

【プロンプト例③:不採用通知メール】

飲食店のアルバイト採用における不採用通知メールを書いてください。

・応募者:大学生の方
・不採用理由(内部情報。文中には書かない):シフトの希望が合わなかった
・トーン:丁寧で、相手の自尊心を傷つけない。応募してくれたことへの感謝を明確に伝える

これらのテンプレートを一度作っておけば、次回以降は名前と日程を変えるだけ。1通あたり20〜30分かかっていた作業が、5分以内に短縮されました。

③ 面接質問リストの作成と評価シートのフォーマット化

「面接で何を聞けばいいかわからない」というのも長年の悩みでした。毎回その場でなんとなく質問していたため、採用後に「こんな人とは思わなかった」という失敗を何度もしています。

【プロンプト例④:面接質問リスト作成】

居酒屋のアルバイト面接で使える質問リストを作ってください。

・採用したいのは:週3〜4日安定して入れる人、接客が好きな人
・避けたいのは:すぐ辞める人、お客さんに対して雑な対応をしそうな人
・応募者の属性:主に大学生・フリーター(18〜25歳)

以下のカテゴリごとに3〜4問ずつ用意してください。
①継続性・コミットメントを確認する質問
②接客への適性を確認する質問
③シフト柔軟性を確認する質問
④応募者が店に向いているかを本人に考えさせる質問

各質問に「この質問で何を見るか(採用担当へのメモ)」を添えてください。

このプロンプトで出てきた質問リストは本当に使えます。「これまでのアルバイトを辞めたきっかけを教えてください」「もしお客さんに理不尽なクレームをされたら、どう対応しますか?」といった、継続性や耐性を測るための質問が体系的に並んでいました。

さらにChatGPTに評価シートのフォーマットも作ってもらいました。各項目を5段階で評価し、合計点と所感を記入する形式です。これにより「なんとなく良さそう」という感覚採用から脱却できました。

④ 採用後のオンボーディング資料の作成

採用して終わりではなく、「入ってすぐ辞められる」のも個人店の悩みです。そこでChatGPTを使って、新人アルバイト向けの「はじめてガイド」を作成しました。

A4で3ページほどの資料で、「初日の流れ」「よく聞かれる質問Q&A」「困ったときの連絡先」「お店のルールTop10」などが盛り込まれています。以前は口頭で伝えていたことをすべて文書化したことで、新人の不安が減り、早期離職率が目に見えて下がりました。

失敗談と改善:うまくいかなかったこと3つ

失敗①:AIの文章がよそよそしすぎた

最初に作った求人票をそのままIndeedに掲載したところ、応募数がそれまでとほぼ変わらず、「AIを使ったのに意味がなかった」と感じました。

原因を分析すると、ChatGPTが生成したきれいな文章が、逆に「どこかよそのチェーン店みたい」な印象を与えていたことがわかりました。個人店に求める「アットホームさ」や「オーナーの人柄」が全く伝わっていなかったのです。

改善策:プロンプトに「私の口調のサンプル」を入れるようにしました。「私はこういう言い方をします→(実際の話し言葉サンプル)。この口調に合わせた求人票を書いてください」と指示することで、格段に「八蔵らしい」文章になりました。応募数は改善後の掲載で1.5倍に増えています。

失敗②:面接質問リストが多すぎて使えなかった

ChatGPTに作ってもらった面接質問リストは全部で20問近くありました。「全部聞けて完璧だ」と思って面接に臨んだのですが、30分の面接時間でそんなに聞けるわけがありません。途中から時計ばかり気になって、かえって集中できませんでした。

改善策:「面接30分で使う、絶対に聞くべき質問を5問に絞ってください」とChatGPTに再度依頼。さらに「この5問を聞く順番と、各質問の目的をまとめた面接シナリオを作ってください」と追加指示しました。これで面接がぐっとスムーズになり、応募者との自然な会話の中から本質を見極められるようになりました。

失敗③:不採用通知メールで苦情を受けた

AIが作った不採用通知メールを使い始めたしばらく後、応募者から「メールの文章が冷たい」という返信をもらいました。確かに読み返すと、丁寧ではあるものの「お祈りメール感」が強く、「大量送信している企業」みたいな印象でした。個人店ならではの温度感がまったくなかったのです。

改善策:不採用通知だけは定型文に頼らず、必ず一言「手書き感のある一文」を自分で付け加えることにしました。「お忙しい中、ご来店いただきありがとうございました。またお店にも気軽に遊びに来てください」という一言だけで、印象がガラッと変わります。AIの文章は「骨格」として使い、「体温」は自分で入れる——この原則を守るようにしています。

成果:Before / Afterで見るコスト・時間の変化

AI導入前(2024年)とAI活用後(2025年)を比較した結果です。

項目

AI導入前(2024年)

AI活用後(2025年)

変化

求人サイト掲載費(年間)

約20万円

約8万円

▲12万円

採用代行・管理ツール費

年間8万円

0円(解約)

▲8万円

ChatGPT Plus利用料

0円

年間約2.4万円

+2.4万円

採用1件あたりの実質費用

約8〜12万円

約2〜3万円

約75%削減

採用関連作業時間(月)

約12時間

約4時間

▲8時間/月

入社3ヶ月以内の早期離職率

約40%

約15%

▲25ポイント

採用コスト年間合計(概算)

約68万円

約10.4万円

▲約57.6万円

数字で見るとより鮮明です。年間の採用関連費用は68万円から10.4万円まで落ちており、削減額は約57.6万円。「年60万円削減」という数字は、むしろ控えめな表現でした。

金額以上に大きかったのが「時間」の回復です。月8時間の削減は、年間96時間。この時間を仕込みや新メニュー開発、常連さんとのコミュニケーションに使えるようになったことが、売上の底上げにもじわじわ効いています。

さらに予想外の副産物として「採用の質」が上がりました。面接質問が体系化されたことで、「なんとなく感じが良さそう」という直感採用から脱却できました。評価シートを使った採用では、3ヶ月以内の早期離職率が40%から15%まで下がっています。これはコスト削減以上に経営の安定につながっています。

応用・発展:採用以外にもAIを活かし始めたこと

採用業務でAIの効果を実感してから、店舗運営のあちこちにChatGPTを活用するようになりました。

メニュー表の改訂とPOPコピー

「このお通しのコピーを書いて」「今月の季節限定メニューの説明文を作って」といった依頼に、ChatGPTはすぐ答えてくれます。以前はデザイン会社に頼んでいたメニュー表の文章も、今はほぼ自分でできるようになりました。

Googleビジネスプロフィールの返信文作成

口コミへの返信は後回しにしがちでしたが、ChatGPTで「この口コミに対する丁寧な返信を書いて」と頼むと、10秒で文案が出てきます。口コミへの返信頻度が上がったことで、Googleのレビュー評価も改善しました。

シフト管理のトラブル連絡文

「急なシフトのお願いメッセージ」「欠員が出たときのスタッフへの連絡文」なども、プロンプト一つで作れます。気を遣いすぎて書けなかった「お願いメッセージ」が、サクサク書けるようになりました。

今後取り組みたいこと

次のステップとして、LINE公式アカウントと連携したAIチャットボットを使って「応募受付の自動化」を検討中です。「24時間いつでも応募できる仕組み」ができれば、深夜に求人を見てくれた学生さんの応募も逃さなくなります。また、面接評価データを蓄積して「うちの店に長く続く人の特徴」を分析する仕組みも面白そうだと思っています。

まとめ:個人店だからこそ、AIを使う価値がある

大手チェーンには採用専任担当者がいます。でも個人店の私たちにはいない。だからこそ、AIという「24時間働いてくれる無給の助手」を使い倒す価値があると、私は本気でそう思っています。

難しいことは何もありません。ChatGPT Plusは月額3,000円ほど。それだけで年間57万円以上のコストを削減し、月8時間の時間を取り戻せました。ROI(投資対効果)で言えば、文字通り桁違いです。

プロンプトも最初から完璧じゃなくていい。「なんか違う」と感じたら「もっとこうして」と追加指示すればいい。会話するように使えるのがChatGPTの強みです。私は3ヶ月かけて少しずつ改善してきましたが、この記事で紹介したプロンプトを使えば、最初から私の3ヶ月後の状態からスタートできます。

「AIは大企業が使うもの」という時代は終わりました。むしろ一人で何役もこなさなければならない個人店オーナーこそ、AIの恩恵を最も受けられる存在です。まずは求人票を一枚、ChatGPTに作ってもらうことから始めてみてください。きっと「なんで今まで使わなかったんだろう」と思うはずです。


※この記事は実践AI(jissen.ai)の専属ライターによる取材・執筆記事です。登場する人物名・店舗名は仮名を使用しています。掲載しているプロンプト例は実際の活用事例をもとに再構成したものです。費用・成果の数値は個人の事例であり、結果を保証するものではありません。

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